治具設計シリーズ【第5|10回】 作業時間を短縮する治具設計 ― “頑張らなくても速い”工程の作り方 ―
現場ではこんな課題がよくあります。
作業時間が長く、数がこなせない
改善しているのに思ったほど短縮されない
人を増やすしかない状態になっている
そして多くの場合
「作業者の努力」で解決しようとしている
のが実情です。
しかしそれでは
疲労が増える
品質が落ちる
継続できない
という悪循環に入ります。
問題の原因
時間が短縮できない原因は、主に3つです。
① “ムダな動き”が設計に残っている
持ち替え
仮置き
位置調整
これらはすべて
設計で消せる時間
です。
② 一工程の中で分断がある
一度止まる
確認する
再度作業する
この“止まり”が
時間ロスの正体
です。
③ 作業の再現性が低い
人によって速さが違う
手順が安定しない
結果として
平均時間が下がらない
状態になります。
解決方法(技術解説)
時間短縮の本質は
「速くする」ではなく「止めない」こと
です。
① ワンモーション化
動作を分解すると
多くは
取る
置く
合わせる
に分かれます。
これを
一連の動きに統合
します。
例
置いた瞬間に位置決め完了
押したら同時に固定
→ 1動作で完結
② 同時処理の設計
時間短縮の鍵は
並列化
です。
固定しながら位置決め
セットしながら次工程準備
これにより
待ち時間をゼロに近づける
ことができます。
③ ノンストップ設計
良い治具は
作業が止まりません。
確認不要
調整不要
戻り作業なし
これにより
流れるような作業
が実現します。
④ 事前準備の外出し
作業時間の中には
準備
段取り
確認
が含まれています。
これを
作業外で完了させる設計
にすることで
実作業時間を削減します。
⑤ タクト意識の設計
重要なのは
1回の速さではなく“平均時間”
です。
誰がやっても同じ時間
ブレがない
これが
真の時間短縮
です。
実際の事例
ある現場で、部品の組付け工程がありました。
従来は
部品を手で位置合わせ
クランプ固定
締結作業
という流れで
1個あたり90秒かかっていました。
改善として
自動位置決め治具を設計
ワンタッチクランプ採用
電動工具の位置固定化
を行いました。
結果
作業時間 90秒 → 45秒
作業者によるバラつき解消
作業負担軽減
さらに
生産能力が約2倍に向上
しました。
技術者の視点(設計思想)
時間短縮とは
「人を急がせること」ではありません。
重要なのは
ムダを消す
止まりをなくす
流れを作る
つまり
“自然に速くなる構造”を作ること
です。
暗黙知の形式知化の重要性
速い作業者は
無駄がない
手順が洗練されている
これを分析し
動作
順序
位置
として定義することで
誰でも同じスピードで作業できる
状態を作れます。
トヨタの「自工程完結」の考え方
時間短縮と品質は
同時に成立させるべきもの
です。
速いが不良が出る → NG
遅いが品質が良い → 不十分
治具によって
速さと品質を両立
させることが重要です。
トヨタの品質設計の考え方
FMEA的に考えると
急ぐことでミスが増える
工程短縮で抜けが出る
これらのリスクを
設計で潰す必要があります。
まとめ
作業時間を短縮する治具設計のポイントは
ワンモーション化
同時処理(並列化)
ノンストップ設計
準備の外出し
タクトの安定化
そして本質は
“速くする”のではなく
“止まらない工程を作る”こと
です。
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