製品設計時のVA/VEの対応方法の一例
以前お世話になった製品設計様で、VA/VEの対応方法に困っていましたので、
下記の私なりの思想とやり方について、話をした備忘録になります。
①製造・加工側の立場から考えると、製品設計側の考えうるVA/VE提案の内容は
上流工程側の自己都合の提案内容が多く、
「仕事の付加価値(原価・売価)」を共に減らす活動が大半であるため、
なかなか協力出来ない。したくない心理があると推定する。
…だから、上流工程側の会社の調達部/購買部から
「VA/VE案無いですか?」とただヒアリングしても、
製造・加工側にメリットが無いため、聞く耳を持ってもらえない。
②そのため、「製造加工を良く知る製品設計者」が
「私たちの製品設計で下流工程である製造・加工側にご迷惑をおかけしたり、
困らせていることは無いですか?」
「形状変更を行い、下流工程である製造・加工現場の作り易さ向上による
品質性向上とVA効果額低減が出来ればお互いの会社がWin-Winです」
と歩み寄りを見せることで、「今回の設計担当者は話が分かり、
製造・加工側の困りごとを解消して、協力してくれるかもしれない」
話をしてみようという心理になるのが人の心理と
お互いの助け合い・歩み寄りだと私は思います。
③そのサプライヤの心理をきちんと対応することは
必須条件になりますが、持ちつ持たれつの関係性になると、
次第に後工程の方達が協力的な姿勢になることを知っている製品設計者は
「心理」と「関係性構築」で、上手くVA対応を実践しているように感じます。
④製品設計側がわざわざVA/VEネタは無いですか?と言わなくても、
プレゼン資料を準備してくれたり、訪問して製造側都合のご説明をしてくれる等
丁寧な対応をしてくれるサプライヤさんも実際に大勢いらっしゃいます。
後工程の製造・加工側も製品設計側がVA/VE活動を行っているということは、
「受注先変更」も視野に入れて活動していることは十分に理解しています。
だから多少のリスク(原価・売価低減)があったとしても、
まるまる仕事を他の製造業社に持っていかれるくらいなら、
製品設計側の旨味(原価・売価低減)の
お土産をぶら下げて対応してくれることが多々あります。
(工程をきちんと説明して頂いたり、場合によっては工程確認をさせてくれます。)
⑤あくまで「困りごと」を解消する姿勢があれば、
工程説明の際の製造・加工側にとっての多少の
不都合(原価・売価の儲けどころ)に製品設計側が気づいて、
VAを実施しても関係性悪化にはつながらず、
「まぁしょうがないな」「持ちつ持たれつだし」となる心理状況が多いのが
私の体験談です。
⑥最終的にもし「国内製造・加工」で部品製造をしていても、
「隙間便」と言われる、航空便・船便の隙間乗り合わせ等を利用すると、
場合によっては、中国製造・加工業者より
きちんと効果額を減らすことが可能な場合も実際に経験し、
活用している他社製品設計会社さんもございます。
(月産数百個の小物部品でよく対応している製品設計会社さんを見かけます)
当然、毎回上手くいくわけではないですが、
私は上記活動を「種まき」と呼ぶ活動として、
VA/VE提案を実践することがよくあります。
上記は、私なりの設計の手法のひとつになります。
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