建築設計者との対談で、お互いの業界全体のセオリーにおける「設計思想」の違いについて
話をしたことがあります。

その時の題材として、AGV(自動搬送機)の筐体部に着目をしながら、
お互いの業界の設計思想について話をしておりました。

製造業界では、鋼材筐体部において、
例えば、柱と梁の強度補強を行う際にプレートを「外付け溶接」することがあります。

一方、建築業界では、柱と梁の組み合わせにおいて、
梁に削り出し加工を施し、柱に「嵌めこむ」ことで嵌合結合をすることがあります。

そのお互いの業界全体のセオリーについて、大枠では同じ「モノづくり」の業界なのに
これほど異なる設計セオリー
において、議論をしました。

「加工性」「コスト」はもちろん考慮する内容の一部ではありますが、
そもそもどのような本質的な「設計思想」が
お互いの業界にあるのだろうとの話で意見を交わしました。

製造業界は、必要十分と想定される、理論・机上計算・業界の経験則の蓄積から
判断をしており、「自然環境」に左右されにくい環境下での「製品使用」が多く、
設計における、「懸念点」「心配点」が、建築業界と比較をすると、
まだコントロールをしやすい事があるのではないかとの話をしました。

その為、製造業は自然環境に左右されにくい環境下製品では、
「コスト」が優先されやすく、建築業界は「安全率」が優先されやすい

ことがあるのではないかとの推定結論に至りました。

どの様な事柄を最重要視して優先順位を定めるかの「設計思想」の
考え方が異なる事もまた、面白いなと感じた対談でした。
私も、「不動産により自然の驚異にさらされ続ける」様な製品設計を、
今後行うことがある場合は、建築業界の設計思想からヒントを得ることも
必要だなと感じた対談でした。