「ついてきなぁ!」シリーズでお馴染みの國井 良昌氏から学んだことで、 私は特に下記の2点を最重要視して後進の方に対しては技術伝承をするように心がけています。

 ①機械設計は技術職人である以上、「修行」が必要   …例えば、世間の職業を例に挙げると、    料理人はお客様に料理を提供する勤務時間以外に、自身の技術スキルを高めるために、    レシピ考案や、料理の研究を行う「修行」の時間を設けている。    美容師もまた、勤務時間のお客様の髪のカット以外に、    勤務時間外で、マネキンなどを用いて、カットの修行の時間を設けている。    私たち機械設計士も「技術職人」である以上、「修行」の時間が必要であり、

   その「修行」にどれだけ真剣に打ち込めたかで、   プロとしてお客様に良い製品が提供できる人になれる。
  また、自身の技術にきちんと誇りを持つことが出来る。

   「技術職人」になれるのか、「技術系・技術風」に
   なってしまうのかの分かれ道になってしまうとの思想になります。
   また、どなたの名言かは忘れてしまいましたが、
   勤務時間は「試合の時間」であり、毎日繰り返される「試合」に対して、
  「いつ練習の時間を確保して技術スキルを上げるのか?」という
   言葉を本で見かけたことがあります。
   だからこそ、私はあえて「後進の方に技術伝承」をする際に、
   緩急をつけるために、飴と鞭を適切に考えながら、
   「仲良しグループに陥る」「マンネリ化する」「怠けて者になってしまう」
   事にならない様に、私に技術伝承をしてくれた師匠達と同じように、
   後進の方達と接するようにしております。
   私は本来、極度な怠け者でしたから、
   修行中は、技術伝承をして頂いた師匠に対して「反発」と「反省」、「自己嫌悪」の繰り返しでした。

 ②製造業(機械設計含む)は「料理人」で例えるとイメージが付きやすい職業になる
  …製造業種以外の方は、なかなかイメージが付きにくい職業であるとのことで、
   料理人に置き換えて考えるとイメージが付きやすいとの発想になります。
   「材料選定」についての一例を挙げると、料理人がお客様に提供する料理のレシピを考案する時に
   「産地:作った人」「安全性:農薬の使用」「入手性:少量生産できちんと手に入るか」等を
   考える事があると思います。
   製造業(機械設計含む)の材料選定も似たようなもので、
   「産地:国柄の特徴(JIS,AISI,DIN,GB等で様々な規格が存在し微妙に同一材でも成分基準が異なる)」
   「安全性:材料成分のMill Test Reportで確認。
        例えばAS(ヒ素)なんかが規格以上に多く含有されていたら大問題」
   「入手性:原材料メーカーの母体の大きさ」
   のように製造業全体をこれから学ぶ方には適しているのではないかとの考え方です。
   業界未経験、全体像把握をこれから行う後進の方に技術伝承する際には、
   まず、ざっくりイメージをもってもらうために私も活用する手法です。