現場の悩み
町工場や中小メーカーでは、設備トラブルが突然発生することがあります。
特に古い設備では、次のような状況が起きることがあります。
突然設備が停止した
部品が破損している
しかし図面がない
メーカーに問い合わせても部品供給が終了している
このような場合、現場では大きな問題になります。
生産ラインが止まる
納期に影響する
代替設備がない
設備を止める時間は、できるだけ短くしたい。
しかし図面がないと、部品を作ること自体が難しくなります。
今回は、実際の現場であった 図面がない部品復元の事例 を紹介します。

問題の原因
ある中小メーカーの工場で、搬送設備のトラブルが発生しました。
原因は、駆動ユニット内部のシャフト部品の破損でした。
しかし問題は次の点でした。
設備は約30年前のもの
図面が残っていない
メーカーの部品供給が終了している
つまり
部品を注文することができない状態
でした。
設備担当者の方は、次のような不安を抱えていました。
「この部品が作れないと、設備を更新するしかないのではないか」
設備更新となると、数百万円〜数千万円の投資になる可能性もあります。

解決方法(技術解説)
このようなケースでは、次の手順で部品復元を行います。

① 部品の役割を理解する
まず最初に確認するのは
その部品が設備の中でどのような役割を持っているか
です。
今回のシャフト部品では
駆動力を伝える
ベアリングで支持される
回転部品である
という機能がありました。
この段階で
荷重方向
回転精度
組付け方法
などを確認します。

② 現物部品を測定する
次に破損した部品を測定します。
測定では
外径
軸径
段差寸法
キー溝寸法
などを確認します。
摩耗している部分は
摩耗していない部分
他部品との関係
を確認しながら、本来の寸法を推定します。

③ CADで図面を作成する
測定データをもとに
3D CADモデル
2D製作図面
を作成します。
この工程では
材料
公差
表面処理
などの設計情報も整理します。
この図面が、再製作のための正式な設計データになります。

④ 部品を製作する
図面が完成した後、加工を行います。
今回の部品では
旋盤加工
キー溝加工
熱処理
を行いました。
完成した部品を設備に組み付け、動作確認を行います。

⑤ 設備復旧
結果として、設備は正常に動作するようになりました。
さらに今回は
材料を変更して強度を向上
させたため、以前より耐久性の高い部品になりました。
設備更新をせずに、設備を復旧することができました。

技術者の視点(設計思想)
図面がない部品復元では
単純コピーではなく、設計理解が重要
です。
例えば今回のシャフトでも
なぜこの径なのか
なぜこの材料なのか
なぜこの段差形状なのか
という設計意図があります。
これを理解せずにコピーすると
強度不足
組付け不良
寿命低下
などの問題が起きることがあります。
設計者の視点で部品を理解することで、より信頼性の高い部品を再製作することができます。

暗黙知の形式知化の重要性
今回の設備では、図面が残っていませんでした。
しかし図面を作成したことで
CADデータ
製作図面
部品情報
がデータとして残りました。
これは将来の設備保全にとって非常に重要です。
一度図面を作っておけば
次回の修理が容易になる
部品在庫の管理ができる
設備情報を共有できる
ようになります。
つまり
設備の暗黙知を形式知に変える
ことができます。

トヨタの「自工程完結」の考え方
製造現場では、トラブルを次工程に流さないことが重要です。
トヨタの「自工程完結」という考え方では
自分の工程で問題を解決する
ことが求められます。
設備部品の図面復元も、この考え方に近いものがあります。
設備の情報を整理し、図面として残すことで
次のトラブルに備えることができる
ようになります。

まとめ
図面がない部品でも、次の手順で復元することができます。
部品の役割を理解する
現物部品を測定する
CADで図面を作成する
部品を製作する
設備を復旧する
町工場や中小メーカーでは、古い設備を使い続けることも多くあります。
その中で
図面がない
部品が買えない
メーカーが対応できない
という問題は珍しくありません。
しかし設計技術を活用すれば、多くの設備部品は復元することが可能です。
この「図面がない部品シリーズ」では
図面復元の考え方
測定方法
再製作の流れ
について解説してきました。
もし現場で
図面がない部品で困っている
という状況がありましたら、一度ご相談ください。

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