図面がない部品シリーズ【第8|10回】 古い設備の部品を復元する方法 ― 生産終了した設備部品を再生する実践技術 ―
現場の悩み
町工場や中小メーカーでは、20年〜30年以上稼働している設備を使い続けているケースが珍しくありません。
しかし古い設備では、次のような問題が起きることがあります。
部品が破損した
メーカーに問い合わせたが部品供給が終了している
図面が残っていない
設備メーカー自体が存在しない
このような状況になると、設備を修理することが難しくなり、最悪の場合は設備更新を検討しなければならないこともあります。
しかし実際には、多くの設備部品は復元することが可能です。
特に機械構造部品であれば、現物部品や設備構造を確認することで再製作できるケースが多くあります。
今回は、古い設備の部品を復元するための具体的な方法について解説します。
問題の原因
古い設備の部品復元が難しくなる理由は、主に次の3つです。
① 設計情報が残っていない
古い設備では
図面が紛失している
紙図面しか残っていない
データ管理がされていない
というケースがあります。
そのため部品を作るための設計情報が不足しています。
② 部品メーカーが存在しない
設備メーカーや部品メーカーが
事業撤退
合併
製品廃番
などにより、部品供給ができない場合があります。
そのためメーカーから部品を購入することができません。
③ 摩耗や変形がある
長期間使用された部品には
摩耗
変形
腐食
が発生していることがあります。
この状態の部品をそのままコピーすると、本来の性能が再現できない場合があります。
解決方法(技術解説)
古い設備の部品を復元する場合、次の手順で進めることが多いです。
① 設備構造を確認する
最初に行うのは、設備全体の構造を確認することです。
具体的には
部品の役割
荷重のかかる方向
動作機構
などを確認します。
この工程により、部品がどのような役割を持っているのか理解できます。
② 現物部品の測定
次に現物部品を測定します。
測定では
外形寸法
穴位置
軸径
取付寸法
などを確認します。
摩耗している場合は
複数箇所の測定
摩耗していない部分の確認
などを行い、本来の寸法を推定します。
③ 3Dデータ・図面の作成
測定データをもとに
3D CADモデル
2D図面
を作成します。
この工程では
材料
公差
表面処理
などの設計情報も整理します。
ここで初めて再製作できる設計データが完成します。
④ 必要に応じて設計改善
古い設備では、当時の設計よりも
材料
加工方法
表面処理
などが進化しています。
そのため単純なコピーではなく
摩耗しにくい設計
強度を改善した設計
に変更することもあります。
これにより設備の寿命を延ばすことができます。
⑤ 部品製作と設備復旧
図面が完成したら
加工
組付け
動作確認
を行い、設備を復旧します。
この工程で設備が正常に動作するかを確認します。
実際の事例
ある製造工場で、搬送設備の駆動シャフトが破損しました。
設備は約30年前のもので、図面は残っていません。
メーカーに問い合わせても、部品供給は終了していました。
そこで次の手順で対応しました。
設備構造の確認
現物シャフトの測定
CAD図面作成
新しいシャフト製作
さらに摩耗原因を分析すると、材料強度が不足していることが分かりました。
そこで材料を変更し、耐久性を向上させました。
結果として設備は復旧し、以前より長寿命の部品になりました。
このように、古い設備でも設計技術を使えば再生できるケースは多くあります。
技術者の視点(設計思想)
古い設備の部品復元では
コピーではなく理解
が重要です。
設計では
なぜこの形状なのか
なぜこの材料なのか
なぜこの寸法なのか
という理由があります。
それを理解することで、単なるコピーではなく設備を改善する設計になることもあります。
暗黙知の形式知化の重要性
古い設備では、設備の知識が
現場のベテラン技術者の経験
に依存していることがあります。
しかし担当者が変わると
設備構造が分からない
部品情報が残っていない
という問題が発生します。
そのため重要なのが
設備情報の図面化・データ化
です。
一度図面を作成しておくことで、将来の設備保全が大きく効率化されます。
まとめ
古い設備の部品は、次の手順で復元することができます。
設備構造を確認する
現物部品を測定する
CADで設計データを作成する
必要に応じて設計改善する
部品を製作する
図面がない設備でも、設計技術を活用することで長く使い続けることが可能になります。
次回の記事では、図面復元に3Dスキャナーを使う理由について解説します。
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