図面がない部品シリーズ【第9|10回】 図面復元に3Dスキャナーを使う理由 ― 複雑な機械部品を正確にデジタル化する方法 ―
現場の悩み
図面がない部品を復元する際、現場では次のような悩みが出てくることがあります。
部品の形状が複雑で測定が難しい
曲面や鋳物形状が多く、ノギスでは測れない
測定に時間がかかりすぎる
測定ミスが起きないか不安
特に古い設備では、次のような部品が多く使われています。
鋳物部品
曲面形状の部品
複雑な機構部品
これらの部品を手作業で測定すると、非常に時間がかかる場合があります。
そこで近年、図面復元の現場で活用されているのが
3Dスキャナー
です。
今回は、図面復元で3Dスキャナーがなぜ有効なのかについて解説します。
問題の原因
従来の測定方法では、次のような課題がありました。
① 複雑形状の測定が難しい
ノギスやマイクロメータは
直線寸法
直径
厚み
などの測定には適しています。
しかし
曲面
自由曲面
鋳物形状
などの測定は難しい場合があります。
② 測定に時間がかかる
部品形状が複雑な場合
測定箇所が多い
寸法整理が必要
になるため、測定だけでも多くの時間が必要になります。
設備トラブルでは、時間が大きな問題になることもあります。
③ 測定漏れのリスク
手作業の測定では
測定箇所の漏れ
寸法の読み取りミス
などのリスクがあります。
特に複雑形状の部品では、測定漏れが後から発覚することもあります。
解決方法(技術解説)
3Dスキャナーを使用すると、部品形状を3次元データとして取得することができます。
これにより、図面復元の工程が大きく変わります。
① 形状を一度に取得できる
3Dスキャナーでは、部品の表面形状を
点群データ
として取得します。
これにより
曲面
複雑形状
鋳物形状
などもデータとして取得できます。
② デジタルデータとして保存できる
取得したデータは
3D CAD
STLデータ
などの形式で保存できます。
このデータをもとに
CADモデル作成
図面作成
形状解析
などを行うことができます。
③ 図面化が効率化される
3Dスキャンデータをもとに
CADモデリング
寸法確認
を行うことで、図面作成の効率が向上します。
特に複雑形状の部品では、従来の測定よりも短時間で図面化できる場合があります。
実際の事例
ある工場で、鋳物製のガイド部品が摩耗していました。
設備は約25年前のもので、図面は残っていません。
部品形状は曲面が多く、ノギス測定だけでは図面化が難しい形状でした。
そこで3Dスキャナーを使用して形状を取得しました。
取得したデータをもとに
3D CADモデル作成
図面作成
部品製作
を行いました。
結果として、短期間で部品を再製作することができ、設備も復旧しました。
このように3Dスキャンは、複雑形状部品の復元に非常に有効です。
技術者の視点(設計思想)
3Dスキャナーは非常に便利な技術ですが、
スキャンすればすべて解決するわけではありません。
重要なのは
部品の役割理解
重要寸法の判断
材料や公差の設計
などの設計判断です。
つまり3Dスキャナーは
設計を支援するツール
であり、設計技術そのものではありません。
図面復元では、設計視点とデジタル技術の両方が重要になります。
暗黙知の形式知化の重要性
設備部品の情報が
現場の経験
担当者の記憶
だけに依存していると、将来の設備保全が難しくなります。
しかし3Dスキャンによって
3Dデータ
CAD図面
を作成しておけば、設備情報をデジタル資産として残すことができます。
これは
暗黙知を形式知に変える取り組み
とも言えます。
まとめ
図面復元で3Dスキャナーを使用する主な理由は次の通りです。
複雑形状を正確に取得できる
測定時間を短縮できる
デジタルデータとして保存できる
3Dスキャン技術を活用することで、図面がない部品でも効率よく復元することが可能になります。
ただし重要なのは、設計視点とデジタル技術の組み合わせです。
この2つがそろうことで、設備部品の復元がより確実になります。
次回の記事では、このシリーズの最後として
図面がない部品復元の成功事例を紹介します。
実際の現場でどのように問題を解決したのか、具体的なケースを解説します。
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