現場の悩み
町工場や中小メーカーの設備保全では、図面がない部品を再製作する必要が出てくることがあります。
しかし、実際に相談すると次のような疑問を持たれる方が多いです。
図面がない部品の見積りはどうやって出すのか
現物しかないのに価格は決められるのか
なぜ見積りに時間がかかるのか
思ったより費用が高い場合があるのはなぜか
通常の部品製作では、図面をもとに
材料費
加工費
表面処理
などを計算して見積りを作成します。
しかし図面がない場合は、設計情報を復元する工程が必要になるため、見積りの考え方が少し変わります。
今回は、図面がない部品の見積りがどのように決まるのかについて解説します。

問題の原因
図面がない部品の見積りが分かりにくい理由は、主に次の2つです。

① 設計工程が必要になる
図面がある部品の場合は
「図面 → 加工」
という流れになります。
しかし図面がない場合は
「現物確認 → 測定 → 図面化 → 加工」
という工程になります。
つまり、設計作業が追加されることになります。

② 加工内容が事前に分かりにくい
図面がない状態では
正確な寸法
材料
加工方法
などが分からない場合があります。
そのため現物確認を行い、加工内容を整理してから見積りを作成することになります。

解決方法(技術解説)
図面がない部品の見積りは、主に次の要素で構成されています。

① 現物調査・測定費
最初に必要になるのが、現物部品の調査です。
例えば
設備構造の確認
部品の役割確認
寸法測定
などです。
この工程で部品の設計情報を整理します。

② 図面作成費
測定したデータをもとに
2D図面
3D CADデータ
を作成します。
この図面が完成することで、加工業者が部品を製作できるようになります。
また、この図面は将来的な設備保全にも活用できます。

③ 材料費
部品に使用する材料の費用です。
例えば
SS400
S45C
アルミ
ステンレス
など、用途に応じて材料が決まります。
材料の種類やサイズによって費用が変わります。

④ 加工費
図面をもとに部品を製作する費用です。
加工内容によって次のような工程があります。
旋盤加工
フライス加工
溶接加工
板金加工
複雑な形状ほど加工費は高くなる傾向があります。

⑤ 表面処理・仕上げ
部品によっては
メッキ
塗装
焼入れ
などの処理が必要になります。
これらも見積りに含まれます。

実際の事例
ある工場で、搬送装置のガイド部品が破損しました。
設備は約30年前のもので、図面は残っていませんでした。
そこで次の工程で対応しました。
現物部品の調査
寸法測定
CAD図面作成
部品製作
この場合、見積りの内訳は
図面復元作業
材料費
加工費
という構成になりました。
図面が完成したことで、その後の部品製作は加工費のみで対応できるようになりました
つまり、最初に図面を作ることは設備保全の資産になるとも言えます。

技術者の視点(設計思想)
図面がない部品の見積りでは、単純な加工費だけではなく
設計作業の価値
が含まれます。
設計では
部品の役割理解
寸法推定
材料選定
などを行います。
この工程があることで、設備に適した部品を製作することができます。
つまり図面復元は、単なるコピーではなく設計作業なのです。

暗黙知の形式知化の重要性
設備保全では、部品情報が
現場の経験
に依存していることがあります。
しかしその情報が図面として残っていないと、同じトラブルが起きるたびに
測定
図面作成
設計判断
を繰り返すことになります。
そのため一度図面化しておくことで
設備情報の共有
保全作業の効率化
将来のコスト削減
につながります。

まとめ
図面がない部品の見積りは、主に次の要素で決まります。
現物調査・測定費
図面作成費
材料費
加工費
表面処理費
図面がない部品の再製作では、加工だけでなく設計工程が必要になることが特徴です。
しかし一度図面を作成しておくことで、将来的な設備保全が大きく効率化されます。
次回の記事では、古い設備の部品を復元する方法について解説します。

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