図面がない部品シリーズ【第6|10回】 図面がない機械部品を作るときの注意点 ― 再製作で失敗しないための設計ポイント ―
現場の悩み
町工場や中小メーカーの設備保全では、図面がない部品を再製作する場面があります。
現物部品を測定し、図面を作成して加工すれば一見問題なさそうに見えます。
町工場や中小メーカーの設備保全では、図面がない部品を再製作する場面があります。
現物部品を測定し、図面を作成して加工すれば一見問題なさそうに見えます。
しかし実際の現場では、次のようなトラブルが起きることがあります。
作った部品が設備にうまく取り付かない
組み付けたが動作がスムーズでない
短期間で再び摩耗してしまう
設備の精度が悪くなった
つまり、部品は作れたが設備としては機能しないというケースです。
図面がない部品の再製作では、単純に現物をコピーするだけでは不十分な場合があります。
今回は、図面がない機械部品を作る際に注意すべきポイントについて解説します。
作った部品が設備にうまく取り付かない
組み付けたが動作がスムーズでない
短期間で再び摩耗してしまう
設備の精度が悪くなった
つまり、部品は作れたが設備としては機能しないというケースです。
図面がない部品の再製作では、単純に現物をコピーするだけでは不十分な場合があります。
今回は、図面がない機械部品を作る際に注意すべきポイントについて解説します。
問題の原因
図面がない部品の再製作でトラブルが起きる原因は、主に次の3つです。
① 摩耗した形状をコピーしてしまう
長年使用された部品は
摩耗
変形
傷
が発生していることが多いです。
その状態の部品をそのまま測定して作ると、摩耗した形状をコピーしてしまう可能性があります。
結果として、新しい部品でも本来の性能を発揮できない場合があります。
② 材料が適切でない
古い設備では、部品の材料が不明なことがあります。
見た目だけで判断してしまうと
強度不足
摩耗しやすい
腐食しやすい
などの問題が発生する可能性があります。
機械部品では、材料選定が性能に大きく影響します。
③ 公差やはめあいが不明
機械部品では
軸と穴のはめあい
位置決め精度
クリアランス
などが重要になります。
しかし図面がない場合、これらの条件が分からないことがあります。
そのため適切な設計判断が必要になります。
解決方法(技術解説)
図面がない機械部品を作る際には、次のポイントを確認することが重要です。
① 摩耗状態を確認する
まず現物部品を確認し、
摩耗している部分
摩耗していない部分
を見極めます。
例えばシャフトの場合
摩耗していない部分の寸法
ベアリングの規格
などから、本来の設計寸法を推定します。
この工程は、図面復元で最も重要なポイントの一つです。
② 材料を確認する
材料が不明な場合は
部品の用途
荷重条件
摩耗状況
などから材料を推定します。
例えば
構造部品 → SS400などの一般構造用鋼
シャフト → S45Cなどの機械構造用鋼
摩耗部品 → 焼入れ材や表面処理
といった判断が必要になります。
③ はめあい条件を考える
回転部品では
軸径
穴径
公差
が重要になります。
例えば
ベアリング取付部
シャフト部
位置決めピン
などです。
はめあいが適切でないと
ガタが出る
動きが固い
異音が出る
などの問題が発生します。
④ 設備全体を確認する
部品だけを見るのではなく、設備全体の構造を理解することも重要です。
例えば
荷重のかかる方向
動作機構
他部品との関係
などです。
この情報があると、より適切な設計判断ができます。
実際の事例
ある工場で、搬送装置のシャフトが摩耗していました。
現物シャフトを測定すると、直径が約0.3mm摩耗していました。
もしこの寸法をそのまま図面にすると、ベアリングとのはめあいが適切ではなくなります。
そこで
ベアリングの型番
摩耗していない部分の寸法
を確認し、本来のシャフト径を推定しました。
さらに材料をS45Cに変更し、耐久性を改善しました。
その結果、設備は安定稼働し、部品寿命も向上しました。
このように図面復元では、設計判断が品質を大きく左右します。
技術者の視点(設計思想)
図面がない部品を作るときに重要なのは
コピーではなく理解
です。
設計では
なぜこの形状なのか
なぜこの材料なのか
なぜこの寸法なのか
という理由があります。
それを理解せずにコピーすると、設備トラブルにつながる可能性があります。
図面復元とは、設計思想を読み解く作業でもあります。
トヨタの「品質設計」の考え方
製造業では、品質を確保するために
FMEA
DRBFM
FTA
などの品質設計手法が使われます。
これは
「どのような故障が起こる可能性があるか」
を事前に考える方法です。
図面がない部品の再製作でも同じです。
例えば
摩耗は発生しないか
強度は十分か
組付けは問題ないか
こうした視点で設計することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
図面がない機械部品を作る際には、次の点に注意することが重要です。
摩耗状態を確認する
材料を検討する
はめあい条件を考える
設備全体の構造を理解する
図面復元は単なるコピーではなく、設計を理解する作業です。
この視点があることで、設備を長く安定して使い続けることができます。
次回の記事では、図面がない部品の見積りはどのように決まるのかについて解説します。
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